香港手外科医学会第25届年度会(2日目) [学会]

7:00 昨晩は、遅くまで(朝3時まで)スライドの準備にかかってしまった(何でもっと早くに仕上げないのか!?)。nativeのように全て原稿なしというのはきついけど、2つのプレゼンのうち1つは原稿なしで頑張ってみることにした(1つは時間配分が難しそうなので、あらかじめ日本で作っておいた)。一度だけ朝にリハーサルを行って、だいたいのイメージをつかんでおいた。以前買ったみかんがまだ残っていたので、それを朝食とした。出発まで時間が少しあったため、ホテル周りをぶらぶら散歩した。今日は天気が良くなりそうである。
8:10 タクシーで会場のPrincess margalet hospitalに向かう。今日もsmoothに到着した。市内から郊外方面に向かうのは渋滞ないが、逆はかなり渋滞するのだそうだ。病院前に香港のパトカーが停まっていた。何か事件か?車はプリウスだった。やはり燃費重視なのだろうか?
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8:30 朝イチのsessionは、母指CM関節症である。昨日、大幅に時間をオーバーしたフランスの先生だ。今日も悪ぶりもせず、10分以上オーバーした。内容は、母指CM関節症全般なのだが、関節固定、関節形成が良くないとして(あまりevidenceを説明していない)、人工関節の話に持って行っている印象である。しかしながら、人工関節の脱臼・loosening症例を見てしまうと、失敗したことを考えて、とてもする気にはなれないのだ(合併症は10-20%あるらしい。実際はもっと多いのではないか?)。日本でHand分野で人工関節が流行らないのは、もしかしたら、良識のある医師が多いということなのか?関節固定にしても人工関節にしても、10年以上の長期成績を出さなければ説得力ないな。続けて、少しネクラな感じのオーストラリアからのDr.が話し始めた。スライドの字が多すぎる印象。淡々と進めているが、これまた時間オーバー。座長は何と、学会場入り口で一緒に記念撮影した、シニアレジデントの様な彼だった。実は少し偉い先生だったのか?いずれにしても香港では若くして、しっかりと場をこなしている。日本も見習わなければならないと感じた。
9:30 tea breakとなる。次のsessionに発表が控えているので、壇上のPCにUSBを持ってダウンロードを済ます(演題が少ないためか、特にPC受付はなく、直接壇上に持っていき、直前に行うというちょっと危険なスタイル。もし、そこで作動しなかったら困るだろうな・・・)。軽く、シュウマイなどを食べて英気を養った。睡眠不足ではあったが、不思議とあまり眠くはない。会場の7Fから外を見ると、病院は高台にあるためとても景色が良い。今日は雲ひとつない快晴である。
9:50 海外からのfree paperが始まった。フィリピン(APFSSH)、パキスタン(APFSSH)、オーストラリア(おそらく招待講演者について来たfreeの演者)、日本(JSSH)からそれぞれ1名ずつ、中国(visiting scholar)3名の計7名で8演題(私のみ2演題)である。これを1時間で終わらせようということなので、かなりtightである。例のごとく全体的に押してしまい、質疑応答の時間は殆どないという状態だった(私にとってはラッキー)。それぞれ面白い演題が並んだ。フィリピンのDr.Nathanielは、手の開放骨折に対して、良く洗った群と今まで通りの群をrandomizedで検討した発表を行っていた。症例数が、11例 vs 19例と多くはなかったが、良く洗った方が感染ゼロだったというもの。その他、オーストラリアからの女性は、magot(蛆) therapyについて述べていた。実に気持ち悪い写真が呈示されていて、途中経過までは良かったが、最終的には多臓器不全で死亡するという不幸な転帰に陥ってしまったので、聴衆からざわめきが起きていた(何故、こんな1例報告を??みたいな)。可愛いからと許される内容ではないような!?
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私はと言うと、2題続けてやらせてもらい、若干のオーバーで収めたので優秀な方だろう。1題目の序盤は、ここ数日のspecial thanksとともに、福岡や大学の簡単な紹介を行ってから始めたので、まずまずの喰いつきぶりだった(と思われる)。橈骨遠位端骨折(DRF)術後のEPL断裂発生要因についての検討と、MIPO法との比較検討である。香港でも、DRFは近年増えてきており(でもまだ平均寿命は70後半とのこと)、問題視されてきているようだし、取っ付き易いトピックなので、みな興味はあったようだ(発表後の談を聞く限り)。いずれも聴衆からの質問は飛ばされてしまい、拍子抜けした。何はともあれ終了した。
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11:00 特別講演の3つ目、M川先生による手指関節症に対するdecision makingについてであった。先生は、実に流暢な英語で聴衆を惹き付ける話術も持っていた。何と大学を卒業してすぐにアメリカに渡り、5年程度留学していたのだそうだ(メイヨーやバッファローなど)。どおりでアメリカナイズされた感じなのだ。内容もリウマチ手に対する治療の考え方、実際の症例を(長期経過含めて)呈示してくれて、とても参考になった。患者と10年以上付き合っていくことになるリウマチの手術は、相当覚悟が必要な分野である。それだけにやり甲斐もあるのかも知れない。SN記念時代にM田先生のもとで、リウマチの手術をしていた頃の思い出がふつふつと甦ってきた。今の自分には遠い分野である気もするが、その「面白さ」は十分に伝わってきた。
11:30 最後のシンポジウムは、手指関節の治療法についてであった。今日はDr.Adams達は来ていなかった。後で聞くと、午前中に、PC Ho達とサイクリングに行ってきたのだそうだ。天気は良かったので、さぞかし気持ち良かっただろう。今日のセッションは、M川先生を中心にスケジュールが組まれている感じだ。今回の学会だけで、5-6回の口演の機会があったのだから、なかなかtoughな仕事である。加えて明日には、デモンストレーション手術も控えている。台湾のDr. Tuのことをふと思い出した。最近、連絡をとっていなかった。帰国後にでもメールで近況報告をしておこう。M川式の指の人工関節は、世界的にも珍しいので、学会場前のメーカーブース(N島メディカル)には、人だかりが出来ていた。香港を足がかりにアジアに進出したいと担当者が熱く語っていた。頑張れ!made in Japan。応援したくなった。その他、吸収プレートの一つである、イニオン社のカタログがあったのでもらっておいた。
12:30 1日半にわたる学会が終了した。ところ変わればということもあり、多くの刺激を受けたことは間違いない。世界は広い。色んな人物がいる。しかしながら、この刺激も日本での日々の雑務に徐々にかき消されてしまい、そのmotivationを保つことが困難である。常にアンテナを張っておくことが、それを防ぐ唯一の方法なのかも知れない。再び、ハンサムなM川先生と。
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13:00 Dr. Steveが例のBMWでランチ会場に送ってくれることになった。M川先生や、Dr. Alexも一緒のようだ。最後まで、接待が続いていた。場所は九龍のネイザンロードに近い「香港老酒店」という中華レストラン(上海スタイルだとか)だった。連日の中華に食傷気味ではあったが、いつものように、美味しく頂いた。M川先生の隣となったため、久しぶりに日本語で会話した。先生の生活スタイルを聞いてかなり驚くこと多かった。まだまだ凄い人がいるもんだと感心しきりだった。パキスタンからのfellowも一緒になった。しきりに写真を撮っていたのが気になった。喋りはインド人に近い独特の発音で早口である。悪い奴ではなさそうだった。Dr. Adamsにもまた再会した。午前中にサイクリングしたとあって、鼻のあたりがややテカっていた。
15:30 少しぶらつきつつホテルまで送ってもらった。今日は本当に天気が良いので、半袖でも大丈夫だった。しかし朝晩は少し寒いこともあるので、上着でも買おうかと、temple streetの辺りを物色したのだが、これというものは見つけられなかった。その他お土産になりそうなものはないかと、ぶらついていたのだが、いいアイディアも浮かばずに、ただ疲れただけに終わってしまう。途中、吉野家を発見したが、日本のそれとはかなり異なるメニューを出しているのに惹かれて思わずパチリ。
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ホテル周辺の地理がだいぶ頭に入ってきたので、もう地図なしでもだいたい歩けるようになったのは収穫だったかも知れない。
17:00 ホテルに戻り、貯まってしまった日記をつける。このホテルは(というよりもPCの問題か?)インターネットの調子が良くない。時間がかなりかかるのである。ということで、タイムリーにはブログも更新できないのが残念である。また片づけがてら、昨日のオープニングセレモニーでもらった品物を開けてみた。なかなか立派な置物であり良い記念になった。
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今日の夕食は、こちらに来てはじめてシンプルに済ませることにしよう。
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