律教治醫院とPalmela Youde Nethersole Eastern Hospital [病院研修]

8:10 待ち合わせに10分遅れで、Dr.Wan(空港まで迎えに来てくれた早口の彼)がやって来た。これから、DK hospital(昨日見学に行った小児専門病院)で研修中であるフランス人Dr.エルをピックアップしに向かう。
9:00 途中、朝の渋滞にはまりながら、今日手術見学することになっている、律教治醫院(Ruttonjee hospital)に到着した。
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1例目の手術は、橈骨遠位端骨折(DRF)の掌側ロッキングプレート(VLP)固定で、レジデント執刀ということもあり、面白くないだろうからと近くで朝食をとることになる。Dr.エルはコーヒーがお嫌いだということだったのだが、病院から徒歩5分くらいの場所にあるスターバックスコーヒーで何故か私も紅茶を頂いた(スタバに紅茶があることを初めて知った)。病院自体はあまり大きくはない。入り口に送迎用のバスが停まっていた。香港も介護サービスなどが必要になってきているようだ。
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10:00 手術室に向かう。A2の単純なColles typeのDRFだった。IFP 2本で整復した後に、シンセスの2.4mm VLPで普通に固定していた。尺骨茎状突起骨折(USF)は伴っていなかった。もしあった場合にはどうするか?問うてみた。このRuttonjee hospitalは600床程度の病院で整形外科医が5名勤務している。しかしhand surgeonがいないので、近くのPalmela Youde Nethersole Eastern Hospitalから手伝いに来ているのだ。そのチーフというのが、何と、私が学会場で、後期レジデントと思っていたけど座長までしていてびっくりしていたというあの彼だったのである。Dr. TC Wongは、弱冠40そこそこの気鋭のhand surgeonらしい。昨年、台湾のChang Gung memorial hospitalに3ヵ月ほど修行にも行っている。実は実力者だったのだ!その彼曰く、USFを固定することは殆どない。特に高齢者は逆に痛がる。最近の文献でも固定しないでいいと言うことになっていると言っていた(私のpaperが含まれていることは知らないようだった)。なるほど、USF放置もworld standardになりつつあるんだなと感じた。しかしながら、私は「受傷時UV高値の症例」「若年者で高活動性」「CTでstaticにDRUJの亜脱臼を認める例」などは、固定の適応があるのでは?と提言しておいた。若きhand surgeon Dr.TC Wongと。
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10:30 休憩室でDr.エルと雑談していた。今、日本で流行りとなっている、Masqulet(フランス語読みを教えてもらったが「マスクレッ」だった)techniqueは、彼の国フランスでは10年以上前から行われているテクニックらしい。フランス語の論文しか書いていなかったため、あまり世間に広まっていなかったようである。彼はもう70歳近い年齢なのだが、実に独創的な多くの方法を編み出しているそうである。Basic scienceに基づいた研究は、彼女も注目していたと言っていた。2011年のInjuryにあの方法が発表されて以来、遅ればせながら、現在日本でトピックになっていることを話した。彼女は、基礎研究もしているようで、induced membraneのしくみなども理解していたので、話を聞いていると実に興味がわいてきた。もっと日本でも突き詰めていくべき分野なのではないかと感じた。
11:00 2例目は、肘部管症候群に対する鏡視下開放術であった。初めて見る手技であったが、なかなか得ることの多かった手術である。関節鏡のシステムや使用するデバイスに工夫が凝らされているのが良かった。適応はmildな症例にのみということ、合併症の問題が100%近くクリアできるのであれば、tryしても良いかも知れない。ECTR同様、learning curveのある手技なのでとっつきにくいかも知れない。日本で大流行りしていないのは、その辺りの問題なのであろう。慣れれば局所麻酔でも可能だと言っていたがそれはやり過ぎでは?と思った(せめて伝達麻酔でしょう)。
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13:00 途中、Dr.TC Wong、Dr.エルと休憩室でコーラなど飲みながら談話していた。手術の入れ替え時間は比較的早い(麻酔前室はないけれど)。手術後、電子カルテに全て英語でop. recordを打ち込んでいる。手術所見を絵で書かないのか?と聞くと殆ど書くことはないと言っていた。
13:30 3例目は、母指CM関節症に対する、suspension interposition arthroplastyであった。手術前に、数年前Hand Surgeryに彼が発表した論文のin printをくれた。FCRのhalf slipを作成し、第1中手骨基部に骨孔を開けsuspension、またhemi resectionしたtrapeziumとのgapにPL tendonで作成した腱球をinterpositionするという方法である。埼玉では、Kaarela/Mathoulin法(数本あるうちのAPLの1-2本を採取しFCRに巻きつける)をしてきたが、慣れればどちらでも良いような気がした。PL tendonをinterpositionする必要があるかどうかは?であった。皮切はこのやり方の方が小さいかも知れない。日本人は、和式の生活スタイル(畳から手を広げて立ちあがるなど)があるので、CM関節を固定すると不自由になるというのが、K島先生の持論で固定は一切行っていなかった。まだまだcontroversialな分野かも知れない。やはり10年以上の長期成績を出して論じるべきであろう。
15:30 遅めのランチに行くことになった。Ruttonjee hospitalの若手医師2人も連れて近く(Wan Chai)の中華レストラン(昨日と似た雰囲気)に行った。飲茶形式が基本なのだろうか。昨日よりは控えめに済ませた。牡蠣と卵のお好み焼きみたいなやつが特に美味しかった。
16:30 Dr.TC Wongたちは、病院に戻らなければならないとのことで、街中でお別れする。私は近くのPalmela Youde Nethersole Eastern Hospitalに寄って帰ることにした。街中では、香港国際映画祭の看板がある。この時期の大きなイベントの一つであるようだ。
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17:30 タクシーに乗り15分ほどで到着(意外と遠かった)。この病院は1400床を超える香港島では2番目に大きい病院(1番は昨日行ったQueen Mary Hospital)である。山の中腹にあること、作りがやや古い感じなのは、QM hospitalに似ている。ぶらぶらと院内を散策してみたのだが、これといって目新しいものはなかった。幾つか病院を見てきたので、もう慣れて来てしまったのかも知れない。
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18:00 ミニバスに乗って北角まで(6HKD)やって来た後、徒歩でCauswayBayまで歩いた(MTRで3駅分)。途中の天后駅付近には、4年前に訪れた際に泊まったホテルがあって懐かしくなったり、香港中央図書館があったので寄ったりして過ごした。
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繁華街であるCauswayBayまで来た頃には、脚に疲れが出てきた(革靴だったし)ので諦めて(可能ならもう2駅歩こうと思っていた)、MTRに乗り込むことにした。ラッシュ時なのか、駅構内はかなり込み合っている。こちらの駅員(おそらく大学生くらいのバイト)は、駆け込み乗車を防ぐために「Stop!」という札を掲げて、乗客を制しているのが特徴的である。
19:30 疲れながらホテルまで到着した。立派なホテルならプールが付いているので、優雅に泳いだりも出来るのだろうが、残念ながら私の泊まっている中流ホテルにそんな施設は備わっていないのである。
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