Prince of Wales Hospitalにてじっくり手術見学 [病院研修]

8:30 油麻地駅からMTRに乗り沙田駅に到着した。駅前からバスで病院まで向かおうと思っていたけど、なかなか来ないので仕方なくタクシーでPrince of Wales Hospitalに向かうことにする。今日で3回目の訪問となるので、だいたいの場所は理解している積もりだった(帰りに、もっと近い最寄り駅があることを知ることになるのだが)。
8:45 病院に到着した。フィリピンから研修に来ているDr.Puaが手術室まで案内してくれた。手術室はOrthopaedic trauma centreも含まれている建物の3Fに位置している。2年前に建てられたばかりの実に新しく広々とした病院である。4Fのロッカーで着替え、中階段を使って3Fに降りて手術室内に入っていく。3Fの手術室は8つあり、主に整形外科が使用しているようだ。本日は、そのうちの1室でHandµチームの手術が3件予定されている。一番大きな部屋(301号)は、当院の手術室2つ分はゆうにある感じ。既に患者の麻酔導入が終わっており、Dr. PC HoとDr. Tseがsettingを始めている。挨拶を済ませると、詳しく患者の現病歴、病態などを話し始めてくれた。SL dissociationに対する関節鏡アシスト下の靱帯再建術(PL tendon使用)である。世界でも名高いPC Hoの関節鏡テクニックを見ることが出来るのは実に光栄である。細かなポイントも見逃すまいとしっかりと観察することにした。
9:10 まず手関節鏡から始まった。タワーを用いた牽引で通常通りに行っているが、一つ一つの動作が実に確実である。無駄な動きが少ないというのが、手術が上手な人の特徴であろう。いつもはもっと気さくな印象であったのだが、手術中は比較的口数は少な目で、時には厳しい一面を垣間見ることもあった。
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関節鏡のデバイスやその他使用する機材には洗練されたものが多く、とても参考になった。中でも小さくて平たく先が曲がっているVaparは使い勝手がとても良さそうであった。SLのdissociationの靭帯再建を行うのに、PL採取の創を含めた皮切が、掌側・背側合わせても5cmにも満たない驚きの程度である。骨孔に靭帯を通すのが最も難しいポイントであると思われるのだが、これも特別な鉗子(2.0mm)を用いて容易に行っていた。
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13:10 手術終了となった。時間はかなりかかった感じであるが、何度も何度も関節鏡で確認したり、イメージで確認したりしていたのが印象的であった。大間違いを起こさないためには、複数回にわたる確認作業というのが実に重要なのだと改めて感じた。
13:30 Dr. PC Hoは用事があるらしく、早々と手術室を後にしてしまった。明日からは、シンガポールにワークショップで旅立つのだそうである。実に忙しい先生である。手術後にはいつもの気さくな笑顔を見せてくれた。
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14:00 途中から見学にやってきたDr.エル(ウマニ)とフィリピンからの研修生Dr.Puaとともに病院食堂でランチとした。とても混雑していたが、職員用スペースを借りて、ローストダック丼みたいなものを頼んでみた。肉の味は美味しいのだが、ご飯がパサついているのが気になってしまう。
14:30 2例目はDr.Tseが1人で中節骨骨折プレート固定術後の感染症例に対する抜釘、デブリドマンを行っていた。既に伸筋腱や背側の軟部組織がなくなってしまっている。来週、隣の指からのisland flapを行う予定だと言っていた(その時見学したかったものだ)。
15:00 3例目が始まるまで時間があったので、談話しているDr.エルウマニたちの写真を撮ったり、他の手術室を覗いてみたりした。
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Trauma teamが、高齢者の大腿骨顆上骨折A3 typeに対してMIPOにて骨接合を行っているようだった。Imageで固定中のplate・screwを見る限り、しっかりとAOテクニックを理解しているようだった。また、外科チームの部屋には、遠隔手術システム(ダ・ヴィンチ)が置いてあった。後で聞いてみると、香港に3台程しかないうちの1台であるそうだ。腹腔鏡視下の手術などを遠隔操作で行っているらしい。ここでは、最先端の治療が頻繁に行われている。
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16:00 3例目は、橈骨遠位端骨折変形癒合後の尺骨付き上げ症候群に対する、関節鏡視・ulnar shortning術であった。Dr.Tseも関節鏡手技はかなり手慣れている感じである。三角骨は付き上げによるimpactionのため、軟骨欠損が生じていた。TFCCはPalmarⅡD。また、尺骨頭は露出してしまっており、こちらも軟骨消失がみられた。滑膜切除・デブリドマンを行った後、尺骨短縮を行った。こちらの手技は特に目新しいことはなかった。プレートはAOのconventional plate 6穴を使用していた。5mm程shortningしていたのでやや過矯正となっていた。
18:30 ゆっくりとした感じで手術が3例行われた訳であるが、多い時はもっと忙しいのだとか。もっと他のマイクロ手術などを見てみたかったのだが、残念ながら叶わなかった。「また明日来ます!」と言って、今日は解散となる。最寄りの駅は、徒歩数分の第一城というところだったので、帰りはこちらからホテルに戻ることにした。
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19:00 1駅手前の旺角駅で降りて、街中を歩いて帰ることにした。旺角は九龍島随一の繁華街だし、有名な金魚ストリートや女人街(怪しいところではなく、女性物の洋服などの店が軒を連ねているエリア)を散策したかったのだ。途中小腹が空いてきたのだが、香港ドルが切れてきたことに気付き、両替商で1000円だけ交換した後に、マンゴジュースやニラまんじゅうみたいな揚げ物をつまみ食いしながら歩いていった。
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19:30 途中寄り道しながら油麻地まで歩いて来ると疲れが出てきた。吉野家の看板が目に入ると、好奇心旺盛な私は、こちらの味も是非試してみなければ!と急に思い立ち寄ってみることにした。肉の味は日本とさほど変わらず美味しい。ご飯は・・・。日本のを100点満点とすると70点くらいだろうか?でも昼の御飯のパサつきよりはマシだったので、何か工夫しているのかも知れない。。。
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コメント 2

もりシロ

病院の設備が充実していて羨ましいです!

by もりシロ (2012-03-23 10:16) 

Ukichi DRZ

日本より進んでいる点が多いですね。もうアジアのトップと浮かれていられる時代ではなくなっているのかも知れませんです。日本も束になってかからないと、圧倒的症例数を誇る発展途上国に臨床で負けてしまうかも知れないのです。
by Ukichi DRZ (2012-03-23 19:30) 

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