午前中は会場内でしっかりと勉強、午後からは屋外で社会勉強・・・ [学会]

9:00 ゆっくりと朝のsessionに参加する(・・・やはり寝坊した訳だ)。Minimarry invasive surgeryやnew technologyのtopicに参加する。自分の演題もoralならばこのグループに入ったハズなのだが残念・・・。中でも、鎖骨のMIPOをintramedurray nailで整復した後に行う方法を発表していたのはシンガポールの女医さんだった。内容は良かったのだが、聴衆からの質問にうまく答えられずに、上司に助け舟を出されていた。というより、上司らしき者がしゃしゃり出て喋ってしまっている感じだ。ああいうのは発表者の立場もなくなるし、どういうもんだろうか・・?他は、橈骨遠位端骨折に対する背側のMIPO(そもそも適応が少ないし・・・)、尺骨遠位端骨折に対するMIPO(今更・・・)、香港とUKでの鎖骨のORIFとK-wire固定の比較検討(これも今更・・・)などなど。。。あまり、琴線に触れてはこないのであった。
10:30 休憩時間になった。今回のポスターはいわゆる「貼りっぱなし」ではあるが、自分のブースで真剣に見ている人、デジカメで写真におさめている人、などには積極的に声をかけてdiscussionすることにした。自分のは橈骨 のMIPOの発表だったのだが、in printがあればなお良かったかも知れない。何となく物足りない気がするのであった。他には、記念撮影用のブースで写真を撮ったりしていた(その際、Chinaの集団に俺も俺も!と写真を撮ってくれと、デジカメ5個分も頼まれる始末・・・、その代わり自分も撮ってもらったから良しとする)。
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11:00 特に約束していた訳でもないのだが、場の雰囲気でTK大の先生たちと市内へ繰り出すこととなる。私を含め4人での行動だ。みな早々と軽装に着替えてきて準備万端であった。九龍でランチをして、一気にShenzhenまで行く計画となった。みな好奇心旺盛で活動力のある人たちなのだ。ホテルから15分くらいかけてMTRの駅まで歩く。外は汗がにじむくらい暑い。週末とあってDisneylandに向かう家族連れ・カップルなどで大いに賑わっていた。さすがにおっさん4人集団でこのメルヘンの世界に入っていくのは・・・。とは言え、時間があれば今晩見学に行っても良いかなとは思っていたりする。
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12:30 MTRを乗り継いで、九龍の繁華街旺角(MongKok)のとあるレストランにやってきた。ガイドブックにも載っている人気店だけあって、かなりの人出である。飲茶形式のいわゆる典型的な中華式レストランである。前回の訪問で食傷気味となっていたハズなのだが、また来てしまった。すると同じレストラン内にKZ大グループの先生方と(AOの重鎮IM先生もいた)ばったり遭遇する。6-7人のグループだったが、かなり料理を頼み過ぎたらしく、食べきれないので「どうですか?」とわざわざ我々のテーブルまで運んで来てくれた。有難く頂いた訳であるが、こちらも頼み過ぎてしまい、結局みんな満腹となってしまうのであった。「もう夜は抜いてもいいね」なんて話していたのだが、、、
14:30 最寄り駅まで歩いた後、中国本土であるShenzhenに到着した。週末なので案の定かなり混雑している。Immigration(出国・入国)通過などで小一時間はかかってしまったのではないか?他のメンバーはまあ良い経験だとあまり気にしていなかったよう。
15:00 中国元を持ち合わせていないこともあり、バスやタクシーを使わず、歩くことにした。距離にして1km程度の道のりを汗をにじませ、キョロキョロしながらひたすら歩く。帰りに足ツボマッサージでも行くか!などと話しながら・・・。そうこうして、いわゆる繁華街の東門市場の近辺に到着した。若者が多く渋谷のような雰囲気ではあるが、何かが違う。店や建物が密集しているせいか?ゴミゴミ感は否めない。行き交う人々、自転車などを見てみると、中国の経済特区であるとは言え、香港とは趣を異にする印象だ。また、若い女性は薄化粧で生足(ショートパンツというのか?)が一般的なファッション。基本的に暑い東南アジアでは一般的なスタイルと言える。
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16:00 疲れたのと、のどが渇いたこともあり、休憩することにした。香港ドルが使えるカフェを探した。それぞれがオーダーする。中国元と香港ドルのレートは、単純に「15:20」ということらしい(実際はもっとレートは良いと思う)。良く分からないが、4人分で日本円で500円くらいで済んだ計算である(まあ安いっちゃ安い)。また、ここの店の従業員の若い女の子たちは、みな英語を理解できない。筆談を交えてコミュニケーションするほかなかった。このあたりも香港との違いであろうか?
17:00 駅近くのデパートに戻って来た。呼び子が何人も寄ってきては、「ニセモノ・時計・カバン」とか言って寄ってくる。ウザい感じである。とは言うものの商売根性があるのは逞しいと言える。このデパートは1階~5階まであり、5階は主にテーラーも入った洋服関係、その他の階はだいたい似たようなラインナップとなっている。ある店では、ROLEX時計が550元から始まり、200元まで下がった。おそらく100元はいけるのだろう。しかし、あまり買う気もなかったので無視した。セットで買えば更に値を下げることもできる。店の子と交渉を楽しみながら過ごしたりする(買う気もないのだから迷惑な話だ・・・)。結局、一行は何も買わずに雰囲気を味わうだけで引き揚げたのだった。
18:40 MTRで一気に南下して九龍島の南端のHungHomまでやってきた。この駅からTsimShaTsuiまで海沿いを歩く計画である。夕暮れから薄暗くなりかけの絶好のハーバービュータイムである。途中、釣り客が糸を垂らして何やら釣っている。小アジのような魚を何匹も釣りあげていたが名前は分らずしまい(泥鰪?とか書いてくれたのだが・・・)。南蛮漬けかフライなどにしたら美味しそうであった。ここの海沿いはプロムナードのようになっていて、ジョギングを楽しむ人、デートコースとしてゆっくり海を眺めるカップルなどで賑わっている。我々は足早に夜景を眺めつつ、写真を撮りつつ通り過ぎていく。途中、有名なブルースリーの銅像やスターの手形などをみる。またまたここで知り合いに出会った(NI大の集団だった。会場では殆どみかけなかったけど・・・)。
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20:00 ぐるっと歩いて(2.5kmくらい?)、油麻街のtemple streetまで到着。夜の露店を眺めながら、夕食にすることとなる(昼にあれだけ食べたのだが、歩き回ったおかげで小腹は空いているのだから健康的だ)。大衆的出店でビールを飲みながら、oyster pancake(この店のは脂っこかった)、シャコみたいな甲殻類、ハマグリやアサリ、チンゲン菜みたいな野菜(これらはたいがいガーリックテイストであった)など・・・、ビールは4種類くらいを2-3本ずつ頼んでいたので結構飲んだかも知れない。このために良く歩いたのだ!とか言いながら一行は盛り上がっていたのであった。
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22:00 ほろ酔いで尿意を我慢しながら、油麻街からMTRを乗り継いで、Disneyland Hotelまでたどり着いた。観光客も殆どいない時間帯で閑散としていた。謝謝光臨というゲートの文字が祭りの後の静けさを現わしているようだ(ツワモノどもが夢のあと・・・)。今日は学会場にいる時間は少なかったが、このグループと行動をともにしたことは色々な意味で大きな刺激となった。暫く、香港に来ることはないかも知れないが、またまたその良さを再認識した旅であった。
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1st AO Trauma AsiaPacific scientific congress & TK experts' symposium参加 [学会]

8:00 opening ceremonyに参加する。通常の学会とは若干異なり、この手の催しが派手な印象である。各legionのお偉方の挨拶があった。Desneyland hotelでの開催ということもあり、偉い方々がミッキーの帽子をかぶって記念撮影していたのは可笑しい(向かって右から2番目は日本代表T中先生)。
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8:50 3つの部屋に分かれて、いわゆる一般演題(meet the expertsと銘打ってあり、各分野の専門家4-5人とmoderatorが1人で、パネルディスカッションのような形式となっている)が続く。Upper limb, lower limb, fragility&atypical fracturesのセッションが組まれていた。それぞれ興味深い演題が続いていたので、各部屋を行ったりきたりしていた。中でも印象に残った演題は、インドからの上腕骨遠位端の開放粉砕骨折に対して8cm以上の巨大欠損部に対して、freeでfibula(血管柄付きではない)をgraftして、見事に骨癒合させていた症例(良く感染しなかったなと感心した)、外側・後外側の脛骨プラトー骨折の発表(最近、大学でも経験したような症例だったので面白かった。外側から2 windowで後方と外側を展開しプレート固定していた)、脛骨遠位端骨折に対する後方プレート固定(前方の軟部組織トラブルが懸念されるような症例には良い適応と思われる。後内側用のプレートの健側を利用して、後外側にプレートをあてていたのは面白かった)。などなど。。。
10:20 コーヒーブレイクとなったのだが、ここでデジカメをなくしていることに気付く。。。慌てて、座っていた椅子の周り、トイレ、休憩所などを探すが見つからない。事務局に言伝てしておき、探してもらうことにした。日本のS社の担当者もいたので、こちらにも頼んでおいた。いやー、なくなったらかなりショックだー。
11:00 台湾からDr.Tuも来ていたので、久しぶりの再会を喜びあった(日本からのお土産も渡せたし)。Dr.Tuもデジカメのことを気にかけてくれた(相変わらず親切なのだ)。ちょっと落ち込みながらも、セッションを聞いていたのだが、あまりピンとくるものはなかった・・・。会場外にPCがあり、一般演題を自由に閲覧できることになっているので、そちらで気晴らしをすることにした。韓国からの発表で、大腿骨転子部骨折後のatypical fractureに対して、plate固定を行っていたのだが、ことごとく骨折を繰り返し、プレートは折損するし、逆側も折れるしで、結局5回くらい手術(最終的にはプレートを全て抜去して、リコンの髄内釘固定・・・)していた症例をみつけた。ビスフォスフォネートを5年以上服用していた症例であった。PTHの投与についても考察していた。最近、このような報告をとても良くみかけるようになっているのは、かなり問題なのである。早急に対策が必要だ。その他、会場で聞いた内容で興味をひいたのは、Treatment for fracture nonunion with accordion techniqueというもので、偽関節部をアコーディオンのごとく、牽引・短縮を繰り返しながら、最終的に骨癒合を目指すというものである、勿論骨欠損の強い症例には適さないなどの適応はあるものの、方法としては面白い。ただし、時間はかかるのが難点であろう。
12:50 ランチョンセミナーがはじまる。ランチボックスは、サンドウィッチにおかずとフルーツが添えてあるシンプルなもの。オレンジジュースが付いてきた。Dr. Tuの隣の席に座って、食べながら話を聞いていた。お題は、medical treatment of fragility fractureであった。今回の学会でかなり力を入れている分野であることが良く分かった。内容はビスフォスフォネートの長期投与によるatypical fractureの発生について、その予防・治療に、PTHが効果的であること。などがエビデンスをもって述べられていた。日本でも今後大注目の分野である。
13:50 午後のセッションがはじまった。Upper limbでいくつか聞いていたが、デジカメのことが気になり落ち着かない。気分転換に散歩にいくこととした。
15:00 屋外プールがあるので、のぞいてみようと思い立ち、着替えを持って出向いてみた。途中、ホテルの中庭に立ち寄り、記念撮影をしてみた。庭師がミッキーの形に木々を刈っているのは面白かった。さて、プールであるが、殆ど人がいなかったので、さっそく着替えてプールサイドで寝転がってみた。暑くなれば、プールに入るということを何度か繰り返して、日頃の疲れを癒した。。。
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16:40 午後のセッションで香港手外科fellowの時に世話になった、Dr.Kennyの発表もあったので、学会場に戻った。まだ始まっていなかった。彼の発表はOutcome of open release for post-traumatic elbow stiffnessという内容で、なかなか良好な治療成績を出していた。Stiffnessの原因に対する適切なアプローチと後療法(splintageの重要性)を述べていた。香港大學は術後後療法・リハビリテーションについてもかなり力を入れているのである。
17:40 その他いくつかの発表を休み休み聞いた後、本日最後のセッション、dynamic locking screwのlectureが始まった。何とその講師の一人に、ドイツテュービンゲンBG hospitalのProf. Hoentchが来ていたのには驚いた。Hoentch先生は、新しいインプラントやテクニックの開発に力を入れている先生なので納得である。5人の先生方のミニレクチャーを聞いた後、Dr.Hoentchに挨拶に行った。何となく覚えてくれていたみたいだったので良かった。名刺を渡しておいた。このdynamic locking screwのコンセプトは、screwが2層構造になっていて、dynamic motionを吸収し、骨折部をstabilizationするというもの。地震の際の建築物でのshock absorber機構に似ている。
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私がテュービンゲン留学中に既にDr. Hoentchがこのscrewの使用を臨床応用していたので良く知っていた。日本にもいよいよcoming soonである。そうこうしてインプラントは進化していくのである。我々は基礎的データからインプラントなどhardwareを進化させつつ、かつ技術・テクニック・アイディアなどのsoftwareも進化させていかねばならないのだ。
18:50 会場外では、すでにcocktail partyが始まっている。たくさんの人ごみの中に、いつもお世話になっているS社のO女史が待ってくれていた。にこにこと近づいてきてくれて、「先生デジカメが出てきました!」と。「Oh my Buddaha!!(仏教徒でもないが)」「本当に!!・素晴らしい!!Amazing!!・ハラショー!!(ホントは言ってない)」などと賛辞の嵐でO女史と喜び合った。もう新しいのを買う計画まで練っていただけに喜びもひとしおであった。あまりに嬉しかったので、記念撮影してしまった。意気揚々といったん会場を後にし、部屋に荷物を置きにいった。
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19:20 会場外でビールなどを飲みながら、チームJapanの先生方々、台湾、香港の知人などと語りあいながら、開場を待っていた。いや~何だか気分が良い!!
20:00 チームJAPANのtableは3つ準備されている。総勢30人弱というところだろうか?いよいよBanquetが始まった。会の進行自体は、昨年の台湾高雄で行われたTK experts’ meetingの際のreceptionと同じく、宴もたけなわとなると、著名人(会長のFlankieなどから・・)、そして各国ごとのカラオケ大会となっていった。食事はコースになっていたが、飲み過ぎてあまり味を覚えていないのは残念。チームJAPANは、誰から言いだしたという訳でもなく、「SUKIYAKI」(日本語レパートリーの曲が殆どなかったよう・・・)に決まっていた。日本の奥ゆかしさがにじみ出ていて良かったのではないかな。
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22:30 ほろ酔いというには足元がおぼつかないくらいになりながら終了となった。香港大學のDr.Kennyと最後は踊っていた。。。なかなか楽しい宴であった。果たして、早朝のセッションに参加できるのか?

香港手外科医学会第25届年度会(2日目) [学会]

7:00 昨晩は、遅くまで(朝3時まで)スライドの準備にかかってしまった(何でもっと早くに仕上げないのか!?)。nativeのように全て原稿なしというのはきついけど、2つのプレゼンのうち1つは原稿なしで頑張ってみることにした(1つは時間配分が難しそうなので、あらかじめ日本で作っておいた)。一度だけ朝にリハーサルを行って、だいたいのイメージをつかんでおいた。以前買ったみかんがまだ残っていたので、それを朝食とした。出発まで時間が少しあったため、ホテル周りをぶらぶら散歩した。今日は天気が良くなりそうである。
8:10 タクシーで会場のPrincess margalet hospitalに向かう。今日もsmoothに到着した。市内から郊外方面に向かうのは渋滞ないが、逆はかなり渋滞するのだそうだ。病院前に香港のパトカーが停まっていた。何か事件か?車はプリウスだった。やはり燃費重視なのだろうか?
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8:30 朝イチのsessionは、母指CM関節症である。昨日、大幅に時間をオーバーしたフランスの先生だ。今日も悪ぶりもせず、10分以上オーバーした。内容は、母指CM関節症全般なのだが、関節固定、関節形成が良くないとして(あまりevidenceを説明していない)、人工関節の話に持って行っている印象である。しかしながら、人工関節の脱臼・loosening症例を見てしまうと、失敗したことを考えて、とてもする気にはなれないのだ(合併症は10-20%あるらしい。実際はもっと多いのではないか?)。日本でHand分野で人工関節が流行らないのは、もしかしたら、良識のある医師が多いということなのか?関節固定にしても人工関節にしても、10年以上の長期成績を出さなければ説得力ないな。続けて、少しネクラな感じのオーストラリアからのDr.が話し始めた。スライドの字が多すぎる印象。淡々と進めているが、これまた時間オーバー。座長は何と、学会場入り口で一緒に記念撮影した、シニアレジデントの様な彼だった。実は少し偉い先生だったのか?いずれにしても香港では若くして、しっかりと場をこなしている。日本も見習わなければならないと感じた。
9:30 tea breakとなる。次のsessionに発表が控えているので、壇上のPCにUSBを持ってダウンロードを済ます(演題が少ないためか、特にPC受付はなく、直接壇上に持っていき、直前に行うというちょっと危険なスタイル。もし、そこで作動しなかったら困るだろうな・・・)。軽く、シュウマイなどを食べて英気を養った。睡眠不足ではあったが、不思議とあまり眠くはない。会場の7Fから外を見ると、病院は高台にあるためとても景色が良い。今日は雲ひとつない快晴である。
9:50 海外からのfree paperが始まった。フィリピン(APFSSH)、パキスタン(APFSSH)、オーストラリア(おそらく招待講演者について来たfreeの演者)、日本(JSSH)からそれぞれ1名ずつ、中国(visiting scholar)3名の計7名で8演題(私のみ2演題)である。これを1時間で終わらせようということなので、かなりtightである。例のごとく全体的に押してしまい、質疑応答の時間は殆どないという状態だった(私にとってはラッキー)。それぞれ面白い演題が並んだ。フィリピンのDr.Nathanielは、手の開放骨折に対して、良く洗った群と今まで通りの群をrandomizedで検討した発表を行っていた。症例数が、11例 vs 19例と多くはなかったが、良く洗った方が感染ゼロだったというもの。その他、オーストラリアからの女性は、magot(蛆) therapyについて述べていた。実に気持ち悪い写真が呈示されていて、途中経過までは良かったが、最終的には多臓器不全で死亡するという不幸な転帰に陥ってしまったので、聴衆からざわめきが起きていた(何故、こんな1例報告を??みたいな)。可愛いからと許される内容ではないような!?
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私はと言うと、2題続けてやらせてもらい、若干のオーバーで収めたので優秀な方だろう。1題目の序盤は、ここ数日のspecial thanksとともに、福岡や大学の簡単な紹介を行ってから始めたので、まずまずの喰いつきぶりだった(と思われる)。橈骨遠位端骨折(DRF)術後のEPL断裂発生要因についての検討と、MIPO法との比較検討である。香港でも、DRFは近年増えてきており(でもまだ平均寿命は70後半とのこと)、問題視されてきているようだし、取っ付き易いトピックなので、みな興味はあったようだ(発表後の談を聞く限り)。いずれも聴衆からの質問は飛ばされてしまい、拍子抜けした。何はともあれ終了した。
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11:00 特別講演の3つ目、M川先生による手指関節症に対するdecision makingについてであった。先生は、実に流暢な英語で聴衆を惹き付ける話術も持っていた。何と大学を卒業してすぐにアメリカに渡り、5年程度留学していたのだそうだ(メイヨーやバッファローなど)。どおりでアメリカナイズされた感じなのだ。内容もリウマチ手に対する治療の考え方、実際の症例を(長期経過含めて)呈示してくれて、とても参考になった。患者と10年以上付き合っていくことになるリウマチの手術は、相当覚悟が必要な分野である。それだけにやり甲斐もあるのかも知れない。SN記念時代にM田先生のもとで、リウマチの手術をしていた頃の思い出がふつふつと甦ってきた。今の自分には遠い分野である気もするが、その「面白さ」は十分に伝わってきた。
11:30 最後のシンポジウムは、手指関節の治療法についてであった。今日はDr.Adams達は来ていなかった。後で聞くと、午前中に、PC Ho達とサイクリングに行ってきたのだそうだ。天気は良かったので、さぞかし気持ち良かっただろう。今日のセッションは、M川先生を中心にスケジュールが組まれている感じだ。今回の学会だけで、5-6回の口演の機会があったのだから、なかなかtoughな仕事である。加えて明日には、デモンストレーション手術も控えている。台湾のDr. Tuのことをふと思い出した。最近、連絡をとっていなかった。帰国後にでもメールで近況報告をしておこう。M川式の指の人工関節は、世界的にも珍しいので、学会場前のメーカーブース(N島メディカル)には、人だかりが出来ていた。香港を足がかりにアジアに進出したいと担当者が熱く語っていた。頑張れ!made in Japan。応援したくなった。その他、吸収プレートの一つである、イニオン社のカタログがあったのでもらっておいた。
12:30 1日半にわたる学会が終了した。ところ変わればということもあり、多くの刺激を受けたことは間違いない。世界は広い。色んな人物がいる。しかしながら、この刺激も日本での日々の雑務に徐々にかき消されてしまい、そのmotivationを保つことが困難である。常にアンテナを張っておくことが、それを防ぐ唯一の方法なのかも知れない。再び、ハンサムなM川先生と。
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13:00 Dr. Steveが例のBMWでランチ会場に送ってくれることになった。M川先生や、Dr. Alexも一緒のようだ。最後まで、接待が続いていた。場所は九龍のネイザンロードに近い「香港老酒店」という中華レストラン(上海スタイルだとか)だった。連日の中華に食傷気味ではあったが、いつものように、美味しく頂いた。M川先生の隣となったため、久しぶりに日本語で会話した。先生の生活スタイルを聞いてかなり驚くこと多かった。まだまだ凄い人がいるもんだと感心しきりだった。パキスタンからのfellowも一緒になった。しきりに写真を撮っていたのが気になった。喋りはインド人に近い独特の発音で早口である。悪い奴ではなさそうだった。Dr. Adamsにもまた再会した。午前中にサイクリングしたとあって、鼻のあたりがややテカっていた。
15:30 少しぶらつきつつホテルまで送ってもらった。今日は本当に天気が良いので、半袖でも大丈夫だった。しかし朝晩は少し寒いこともあるので、上着でも買おうかと、temple streetの辺りを物色したのだが、これというものは見つけられなかった。その他お土産になりそうなものはないかと、ぶらついていたのだが、いいアイディアも浮かばずに、ただ疲れただけに終わってしまう。途中、吉野家を発見したが、日本のそれとはかなり異なるメニューを出しているのに惹かれて思わずパチリ。
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ホテル周辺の地理がだいぶ頭に入ってきたので、もう地図なしでもだいたい歩けるようになったのは収穫だったかも知れない。
17:00 ホテルに戻り、貯まってしまった日記をつける。このホテルは(というよりもPCの問題か?)インターネットの調子が良くない。時間がかなりかかるのである。ということで、タイムリーにはブログも更新できないのが残念である。また片づけがてら、昨日のオープニングセレモニーでもらった品物を開けてみた。なかなか立派な置物であり良い記念になった。
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今日の夕食は、こちらに来てはじめてシンプルに済ませることにしよう。

香港手外科医学会第25届年度会(1日目) [学会]

8:15 香港手外科学会の初日である。本日は発表がある訳でないので気が楽だ。ホテル前からタクシーをつかまえて、会場となっているPrincess Margalet Hospitalに向かう。ホテルのボーイさんに聞くと20分もかからないと言っていた。
8:35 すんなり病院に到着した。この病院も大きくて1000床以上はあるようだ。
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病院の主座(メインロビー)に来るも、特に学会の案内がある訳でもなく、会場がどこだか良く分からなかった。エレベーターの手前に申し訳なさそうに張り紙があったので、ようやく場所が分かった。7階の大講義室で行うようだ。昨日、一昨日と接待を受けていたこともあり、知った顔に何人か出会った。会長のDr.AlexとフィリピンのDr. Nathanielが雑談していた。早速、regitrationするように言われる。参加証明書やらネームーホルダー2種類(参加者用とJSSH ambassadorとしての2つが用意されていた)をもらった。日本とは異なり、既に名前が記載されている。参加者数はハンドセラピストや看護師も一部来るとのことで、200名弱らしい(そのうち海外からは招待者含めて30名弱というところだろうか)。一つの会場で、続けてsessionが組まれているため、全ての演題を聞くことができるのが良い。先月の九州手外科も同じスタイルだったが、あれはきつかった。55演題を朝から晩までぶっ通しでやるのだから。。。香港の若いDr.にそのことを話したら、それはクレージーだねと言っていた。
9:00 早速、国内のfree paperのsessionが始まった。Cadaver workshopでbuddyだったDr.Margaletが喋っている。流暢だ。さすがに発表中は「Uhhu」は出ていない。Dynamic splintを用いた基節骨骨折の保存治療10年成績を出している。確かにこの部位は癒着の問題もあり、手術の成績があまり良くない部位だ。それだけに聞いていて妙に納得した。やはり、長期成績はインパクトがあるものだ。この演題は、今回の最優秀演題に選ばれて後ほど表彰されていた。続けて、来月日本にfellowでやって来る、Dr.Kennyが2演題続けて発表していた。皆そうなのだが、原稿などは見ずに、実に堂々と話している。聴衆に訴えかけるような喋り口は、Steeve Jobsばりである。なかなか聞かせるテクニック・スライド構成をしていた。母指CM関節症に対する鏡視下デブリドマンの良好な短期成績(Gradeの低い症例を厳選)を出していた。もう一つは、CPなどによる上肢の痙性に対する、Botulinum injectionの話をしていた。なかなか興味深かった。その他は、テニス肘に対する保存治療(テニス肘バンドとバンド+手関節背屈装具のrandomized control trial)、これは、手関節背屈装具も併用した方が3ヵ月までは成績が良いというものだった。他にも幾つかあったが、splintを用いた治療成績が比較的多い印象。日本の手外科学会のように、橈骨遠位端骨折ばかりということはなくて新鮮であった。
10:10 シンポジウムで国内外4人の演者が順番に喋っていた。皆、概ね時間オーバーだったのだが、最後のフランスの演者は12分の予定を30分近く喋っていた。Pyocarbon interpositionというインプラントの説明なのだが、昨日もワークショップで聞いていた内容でもあり、早く終わって欲しかった。次第に聴衆もざわつき始め、さすがに座長が制してくれた。時間はルーズでない方が気持ち良い。
11:40 40分遅れでtea breakとなった。もう昼に近い。またもやシュウマイやらクッキーなどが置いてある。入り口で写真を撮るのを忘れていたので、撮ってもらった。一緒に写っているのは、この病院のシニアレジデントのDr.なのか?まだ若いが結構しっかりしている雰囲気だった。
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その後、院内をうろついて、救急室やら救急車などを見てきた。日本のそれより機能的でカッコ良い。
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12:00 招待講演者1人目Dr. Adamsによるwrist arthroplastyの話である。今回の学会の目玉の1つのようだ(もう一つがM川先生の指の人工関節の話)。この二人のみが学会からの招待で、その他の海外からの講演者は、企業持ち招待だそうだ。どうやら企業持ちの方が良いホテルに泊まっているのだとか。。。やはり、人工関節ものはadhesionの臭いが強い。内容は、これまた昨日聞いた話に補足が少しされているのみであり、復習には良いがちょっと飽きてきた。
12:30 オープニングセレモニーが始まった。台湾でのAPFSSHでもそうだったが、会の途中でやるのが常らしい。確かに、その方が皆参加してくれるので良いのだろう。次々に招待講演者などが呼ばれていく。最後に日本からのexchanging fellowということで、私が紹介された。「Ambassador」という称号が付いているのだが、「大使?」他のfellow達がscholarと呼ばれているのに比較して、何だか偉そげである。しかしながら、その風格は醸し出せない。
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13:00 ランチョンシンポジウムが始まる。3人の演者が入れ替わり喋っていた。トピックは橈骨遠位端骨折であった。背側アプローチ(古い症例ばかり・・・)、掌側アプローチ、新しいインプラントの開発など。うち、AOの著名人、Frankie Leungが掌側プレートでのscrewの長さは、リスター結節に騙されないように、短く設定すべきであると言っていた。これは、私が明日喋る内容でもあり、かぶってしまうのだった。ランチは、ペンネとサンドウィッチであり、あまり美味しくなかった。マンゴージュースは結構イケた。
14:00 2つ目のシンポジウムが始まる。シンポジウムとは言っても、皆、時間を気にしていないので、最後のpanel discussionの時間がなくなってしまうので意味がない。単なるショートレクチャーになってしまっている。M川先生のwristのtendon suspension interposition arthroplastyのみが、日本人だからだろうか、共感を覚えた。他は人工関節一辺倒であり、かなり抵抗がある。これらは、企業のMarketingも兼ねているので、売り込みに必死なのだろう。知識としては、持っていても良いだろうが、自分でやることはないような気がする。
15:20 招待講演の2つ目で、もう1人のAdams(女性)、UKから。彼女は、手外科・上肢外科におけるsplintの重要性について熱く述べていた。OTとのコラボが重要であると、それが出来てきて、手外科の手術の成績も安定してきたとの弁だった。確かにその通りだが、これも時間オーバーであった。内容はシンプルでメッセージ性を前面に出した方が後に残りやすいだろう。
16:30 tea breakの後に、最後のsessionが約1時間遅れで始まった。DRUJ instabilityに関する内容だったので、きつかったが、頑張って最後まで聞いた。3人の演者が話してくれのだが、結局、DRUJ不安定性があっても症状がある人、ない人がいることに対する答えを持っている人はいなかった。これが問題だと思うのに。。。それがクリアされなければ、本当は必要でない手術をしてしまっている可能性を常に孕んでいることになるのだ。皆それぞれ哲学があるのだろうし、疲れていたので質問する気力はなかった。
17:30 1日目が終了した。これから、近くのレストランでCongress Banquetが開かれる。車で10分程度の場所らしいのだが、19時から開始なので、微妙に時間が空いてしまう。いったん帰っても来るのが大変なので、先に向かうというOTの方たちと便乗させてもらい、レストランの近くを散策することにした。
18:20 富臨皇宮という中華レストランだったが、同時に2件の結婚式が行われていた。香港スタイルの結婚式を見ることができて面白かった。会場の末席のスペースには、雀卓があって、麻雀に興じる老若男女がいるのには驚いた。全体的な雰囲気は、日本のそれとあまり変わらない感じ。
19:00 街をぶらついた後に戻って来ると、ぼちぼち人が集まりだしていた。学会からの招待者のみで、私のようなfellowshipや招待講演者、企業の人たち、事務局、併設されていたハンドセラピスト学会の関係者などが、総勢50人程度というところだったろうか?私の両隣には、Tuen Mun HopsitalのDr. Choiと香港に支店を置くフランスのインプラント会社のジダンに似たMr.(フランス読みなので良く聞き取れなかった)だった。N島メディカルの女史もいて、日本の話題で盛り上がったので楽しかった。
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20:00 途中、パフォーマーがやってきて、薄っぺらい紙の上に乗っかったり、包丁の上に乗ったり、釘を手で打ち込んだり、歯で抜いたり、鎖を胸でちぎったりしていた。。。怪我しても世界からhand surgeonが来ているから安心だなどと言っていた。これらの芸は本当にしているようなのだが、おそらく「氣功」の要素を取り入れているのだろう。人間、「気合い」で何とかなるという意味では良い勉強になった。料理はこれまたtoo much。。。。セーブした積りだったが、知らず、知らず食べてしまっていたようだ。また、途中で、ラッキージョーとか言って、記念品がもらえる抽選会のようなものをした。幸運なことに私も当たって、ワイヤレスのマウスを頂いた。ネズミ年産まれなので、マウスには縁があると言ったら、まあまあ受けてくれた。その後、記念撮影をしたり、Dr.HK Wongが香港手外科学会のネクタイを記念にくれたりとした。写真は、隣の結婚式会場の前でPC Hoと。
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21:40 帰りは、スピード運転に定評のある、Dr.Steve(これまたBMWなのだが、メカをいじっている)がtemple streetまで送ってくれた。お腹を減らさないといけないと言って、少し遠くで降ろしてもらった。ほろ酔いの中、夜の街をぶらついてホテルに戻った。いよいよ、明日が発表本番である。気合い入れていこう!

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