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香港手外科医学会第25届年度会(1日目) [学会]

8:15 香港手外科学会の初日である。本日は発表がある訳でないので気が楽だ。ホテル前からタクシーをつかまえて、会場となっているPrincess Margalet Hospitalに向かう。ホテルのボーイさんに聞くと20分もかからないと言っていた。
8:35 すんなり病院に到着した。この病院も大きくて1000床以上はあるようだ。
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病院の主座(メインロビー)に来るも、特に学会の案内がある訳でもなく、会場がどこだか良く分からなかった。エレベーターの手前に申し訳なさそうに張り紙があったので、ようやく場所が分かった。7階の大講義室で行うようだ。昨日、一昨日と接待を受けていたこともあり、知った顔に何人か出会った。会長のDr.AlexとフィリピンのDr. Nathanielが雑談していた。早速、regitrationするように言われる。参加証明書やらネームーホルダー2種類(参加者用とJSSH ambassadorとしての2つが用意されていた)をもらった。日本とは異なり、既に名前が記載されている。参加者数はハンドセラピストや看護師も一部来るとのことで、200名弱らしい(そのうち海外からは招待者含めて30名弱というところだろうか)。一つの会場で、続けてsessionが組まれているため、全ての演題を聞くことができるのが良い。先月の九州手外科も同じスタイルだったが、あれはきつかった。55演題を朝から晩までぶっ通しでやるのだから。。。香港の若いDr.にそのことを話したら、それはクレージーだねと言っていた。
9:00 早速、国内のfree paperのsessionが始まった。Cadaver workshopでbuddyだったDr.Margaletが喋っている。流暢だ。さすがに発表中は「Uhhu」は出ていない。Dynamic splintを用いた基節骨骨折の保存治療10年成績を出している。確かにこの部位は癒着の問題もあり、手術の成績があまり良くない部位だ。それだけに聞いていて妙に納得した。やはり、長期成績はインパクトがあるものだ。この演題は、今回の最優秀演題に選ばれて後ほど表彰されていた。続けて、来月日本にfellowでやって来る、Dr.Kennyが2演題続けて発表していた。皆そうなのだが、原稿などは見ずに、実に堂々と話している。聴衆に訴えかけるような喋り口は、Steeve Jobsばりである。なかなか聞かせるテクニック・スライド構成をしていた。母指CM関節症に対する鏡視下デブリドマンの良好な短期成績(Gradeの低い症例を厳選)を出していた。もう一つは、CPなどによる上肢の痙性に対する、Botulinum injectionの話をしていた。なかなか興味深かった。その他は、テニス肘に対する保存治療(テニス肘バンドとバンド+手関節背屈装具のrandomized control trial)、これは、手関節背屈装具も併用した方が3ヵ月までは成績が良いというものだった。他にも幾つかあったが、splintを用いた治療成績が比較的多い印象。日本の手外科学会のように、橈骨遠位端骨折ばかりということはなくて新鮮であった。
10:10 シンポジウムで国内外4人の演者が順番に喋っていた。皆、概ね時間オーバーだったのだが、最後のフランスの演者は12分の予定を30分近く喋っていた。Pyocarbon interpositionというインプラントの説明なのだが、昨日もワークショップで聞いていた内容でもあり、早く終わって欲しかった。次第に聴衆もざわつき始め、さすがに座長が制してくれた。時間はルーズでない方が気持ち良い。
11:40 40分遅れでtea breakとなった。もう昼に近い。またもやシュウマイやらクッキーなどが置いてある。入り口で写真を撮るのを忘れていたので、撮ってもらった。一緒に写っているのは、この病院のシニアレジデントのDr.なのか?まだ若いが結構しっかりしている雰囲気だった。
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その後、院内をうろついて、救急室やら救急車などを見てきた。日本のそれより機能的でカッコ良い。
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12:00 招待講演者1人目Dr. Adamsによるwrist arthroplastyの話である。今回の学会の目玉の1つのようだ(もう一つがM川先生の指の人工関節の話)。この二人のみが学会からの招待で、その他の海外からの講演者は、企業持ち招待だそうだ。どうやら企業持ちの方が良いホテルに泊まっているのだとか。。。やはり、人工関節ものはadhesionの臭いが強い。内容は、これまた昨日聞いた話に補足が少しされているのみであり、復習には良いがちょっと飽きてきた。
12:30 オープニングセレモニーが始まった。台湾でのAPFSSHでもそうだったが、会の途中でやるのが常らしい。確かに、その方が皆参加してくれるので良いのだろう。次々に招待講演者などが呼ばれていく。最後に日本からのexchanging fellowということで、私が紹介された。「Ambassador」という称号が付いているのだが、「大使?」他のfellow達がscholarと呼ばれているのに比較して、何だか偉そげである。しかしながら、その風格は醸し出せない。
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13:00 ランチョンシンポジウムが始まる。3人の演者が入れ替わり喋っていた。トピックは橈骨遠位端骨折であった。背側アプローチ(古い症例ばかり・・・)、掌側アプローチ、新しいインプラントの開発など。うち、AOの著名人、Frankie Leungが掌側プレートでのscrewの長さは、リスター結節に騙されないように、短く設定すべきであると言っていた。これは、私が明日喋る内容でもあり、かぶってしまうのだった。ランチは、ペンネとサンドウィッチであり、あまり美味しくなかった。マンゴージュースは結構イケた。
14:00 2つ目のシンポジウムが始まる。シンポジウムとは言っても、皆、時間を気にしていないので、最後のpanel discussionの時間がなくなってしまうので意味がない。単なるショートレクチャーになってしまっている。M川先生のwristのtendon suspension interposition arthroplastyのみが、日本人だからだろうか、共感を覚えた。他は人工関節一辺倒であり、かなり抵抗がある。これらは、企業のMarketingも兼ねているので、売り込みに必死なのだろう。知識としては、持っていても良いだろうが、自分でやることはないような気がする。
15:20 招待講演の2つ目で、もう1人のAdams(女性)、UKから。彼女は、手外科・上肢外科におけるsplintの重要性について熱く述べていた。OTとのコラボが重要であると、それが出来てきて、手外科の手術の成績も安定してきたとの弁だった。確かにその通りだが、これも時間オーバーであった。内容はシンプルでメッセージ性を前面に出した方が後に残りやすいだろう。
16:30 tea breakの後に、最後のsessionが約1時間遅れで始まった。DRUJ instabilityに関する内容だったので、きつかったが、頑張って最後まで聞いた。3人の演者が話してくれのだが、結局、DRUJ不安定性があっても症状がある人、ない人がいることに対する答えを持っている人はいなかった。これが問題だと思うのに。。。それがクリアされなければ、本当は必要でない手術をしてしまっている可能性を常に孕んでいることになるのだ。皆それぞれ哲学があるのだろうし、疲れていたので質問する気力はなかった。
17:30 1日目が終了した。これから、近くのレストランでCongress Banquetが開かれる。車で10分程度の場所らしいのだが、19時から開始なので、微妙に時間が空いてしまう。いったん帰っても来るのが大変なので、先に向かうというOTの方たちと便乗させてもらい、レストランの近くを散策することにした。
18:20 富臨皇宮という中華レストランだったが、同時に2件の結婚式が行われていた。香港スタイルの結婚式を見ることができて面白かった。会場の末席のスペースには、雀卓があって、麻雀に興じる老若男女がいるのには驚いた。全体的な雰囲気は、日本のそれとあまり変わらない感じ。
19:00 街をぶらついた後に戻って来ると、ぼちぼち人が集まりだしていた。学会からの招待者のみで、私のようなfellowshipや招待講演者、企業の人たち、事務局、併設されていたハンドセラピスト学会の関係者などが、総勢50人程度というところだったろうか?私の両隣には、Tuen Mun HopsitalのDr. Choiと香港に支店を置くフランスのインプラント会社のジダンに似たMr.(フランス読みなので良く聞き取れなかった)だった。N島メディカルの女史もいて、日本の話題で盛り上がったので楽しかった。
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20:00 途中、パフォーマーがやってきて、薄っぺらい紙の上に乗っかったり、包丁の上に乗ったり、釘を手で打ち込んだり、歯で抜いたり、鎖を胸でちぎったりしていた。。。怪我しても世界からhand surgeonが来ているから安心だなどと言っていた。これらの芸は本当にしているようなのだが、おそらく「氣功」の要素を取り入れているのだろう。人間、「気合い」で何とかなるという意味では良い勉強になった。料理はこれまたtoo much。。。。セーブした積りだったが、知らず、知らず食べてしまっていたようだ。また、途中で、ラッキージョーとか言って、記念品がもらえる抽選会のようなものをした。幸運なことに私も当たって、ワイヤレスのマウスを頂いた。ネズミ年産まれなので、マウスには縁があると言ったら、まあまあ受けてくれた。その後、記念撮影をしたり、Dr.HK Wongが香港手外科学会のネクタイを記念にくれたりとした。写真は、隣の結婚式会場の前でPC Hoと。
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21:40 帰りは、スピード運転に定評のある、Dr.Steve(これまたBMWなのだが、メカをいじっている)がtemple streetまで送ってくれた。お腹を減らさないといけないと言って、少し遠くで降ろしてもらった。ほろ酔いの中、夜の街をぶらついてホテルに戻った。いよいよ、明日が発表本番である。気合い入れていこう!

Cadaveric Hands-on workshop on Hand, Wrist & Elbow Arthroplasty [ワークショップ]

7:45 昨晩ホテルまで送ってくれたDr. Kennyが今朝も迎えに来てくれた。本日は、香港中文大學のPrice of Wales Hospitalにて、hand arthroplastyに関するcadaver workshopが開かれるので、我々も参加させてもらうことになっている(参加費は別途160HKDかかったが、日本ではなかなかできない経験なので安いものだ)。ホテルからは、彼のかっとばし運転のお陰で、ものの15分程で到着した。実は開始時間を間違えていたので、急いでいたのだ。
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病院はこれまた大きくて、1400床程度だそうだ。たくさんの建物が集まっており、やはり迷子になってしまいそうである。
8:05 会場である矯正外科及創傷學進修培訓中心という会場にやってきた。中は参加者の熱気に包まれていた。幸い、開始が少し遅れておりまだ始まっていなかった。
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Registrationを済ませ、ネームバッジなどを受け取ると、今回の研修をメールでいろいろと面倒みてくれた、Dr.HK Wongがわざわざ挨拶に来てくれた。香港のDr.はだいたい物腰が柔らかい印象である。背は低めだが体格が良いので何か運動をしているのだろう。エネルギッシュっぽい方だ。また、日本からのinvited speakerであるM川先生もおられたので、挨拶させてもらった。隣にN島メディカルの担当者もいた。今回は指の人工関節の話をされるので、そのMarketingも兼ねてのことだろう。また、何とE-DA hospitalのDr.Wuも参加していた(1年ぶりの再会だ)。彼は、昨年このPrince of Wales Hospitalに3カ月ほど手関節鏡の研修に来ていたのだそうだ。突然の懐かしい再会に驚いた。
8:30 会場は緩い階段状で12のテーブルに2人ずつ。24人が参加者ということになるだろうか?その他、関係者を入れると40人以上が会場におり盛況だった。若干ホルマリン臭がするがそれ程気にならない。私が学生の頃は目にシミるくらい強烈だった思い出がある。かなり改善されているようだ。
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demo用はfresh cadaverなのだが、我々に与えられているのは、上腕遠位からのdry cadaver 2体である。他に何かを行った痕跡があるので、使い回しなのかも知れない。Dr.Kennyが今回のワークショップは資金繰りが大変なようだとか言っていたので、妙に納得してしまう。しかし、設備は新しく、ビデオ・プロジェクターをはじめAV機器は充実していた。将来的には、うちの大学にもこのようなトレーニングセンターが出来たら、人が集まるかも知れないなどと妄想にふけったりしていた。
正直、Hand surgery分野(肘を除く)での人工関節は、RA指にSwanson typeを使用したことがあるくらいであまり馴染みがない。今回は、今後やる・やらないは抜きにして、あまり経験することのない手術・手技を見ておこうという気持ちで参加することにした。昨日ディナーをともにした、Dr.Adamsが得意のDRUJ不安定症に対するPLを用いたTFCC再建について講義・demoをしてくれた。正直言って、この手技が本当に必要な症例はごく限られていると思っている。しかし、もしもの時には使用できるかもしれない手術ではある。そんなに難しくはないだろうが、foveaの部分に適切に骨孔を開けないとDRUJの回転中心がおかしくなるので注意が必要だ。
9:10 tea breakで朝食を済ませた(シュウマイやらパンやらがふるまわれた)。
9:20 その他、部分尺骨頭置換やAMANDYSというラグビーボールのようなインプラントを手関節にinterpositionさせる手術、total wrist replacementなどが続いた。AMANDYSを実際にcadaverでやってみる。何とも破壊的な手術で気が進まない。形状は良さそうだが、不安定性や失敗した後のサルベージは?などと考えると容易に手を出そうとは思えない。同じテーブルには、香港大學(世界的には東京大学よりもランキングが高いことになっている)のDr.Margaletという女医さんが一緒になった。相槌の「Uhhu」というのが少し特徴的な女性である。まだ30そこそこではないだろうか?ワークショップでは、私に執刀させてくれ、アシストを率先してしてくれた。Visitorに気を使ってくれていたのだろうか?
12:00 全体的に時間は押していた。講師陣もdemoで苦労しているようだ(やはり実際の症例とは勝手が違うのだろう)。橈骨頭置換やrHead、uni-elbow(上腕骨小頭と橈骨頭のみの置換)の説明があった。これらの症例は、外傷整形外科医としては、まずはORIFをtryして、不幸にしてOAになったり、その他の原因で障害が起こったものではない限り、使用したくはない代物だろうと感じる。ただ珍しいのでちゃんと聞いてはいた。
13:40 他の建物の食堂に一同向かって、昼食をとった。中華料理で、回転テーブルのバイキング形式だった。
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最後に日本のぜんざい(red beans sweet soup with tapiokaとか言っていた)みたいなのが出てきた。味は甘過ぎの感じ。同じテーブルには、Dr.Wu、Dr.Kenny、Dr.Alexが一緒になってくれた。また食べ過ぎた。。。
14:40 散歩の後トイレに行っていたら、既に始まってしまっていた。日本のM川先生などによる指の人工関節の講義、続けて、背側アプローチと掌側アプローチでのPIP関節人工関節置換術のデモをしてくれた。二人とも硬い骨に苦心して、時間オーバーとなり大変そうだった。我々も、実際にやってみた。掌側アプローチが面白そうだったのでtryする。A2pullyとC1pulleyの間を両サイドでcutしてFDS・FDPの下面のvolar plateを剥離して両側側副靱帯を少し剥離して、PIP関節を露出させる。Dry cadaverなので硬くてかなりやりにくい。まずはmanual manuplationが必要だった。そうこうしながら、Dr. Margaletとともにインプラント挿入まで。このインプラントの良いところは、髄内にネジ込みながら挿入(深度も調整できる)する点だろう。一度覚えると安定感もあるし使い易いかも知れないと思った。
16:30 だいぶ疲れてきた。Tea breakだったが、時間が押しており5分程度で終了となる。
17:00 途中意識を少し失いながらも講義・デモをcheckする。最後のセッションは母指CM関節の置換であるが、さすがにこれをすることはないな~と思いながら(固定、suspension arthroplasty両方を経験してきたので)、実際にやってみた。最後の方はあまり真剣にやらずに他に興味のあった解剖をいじって遊んでいた(後骨間皮弁、TFCC周囲など・・・)。
18:30 ようやく終了となる。最後にM川先生と記念撮影した。先生は来週シンガポールでまた同様な仕事があるのだそうだ。お忙しい方である。
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19:30 今晩はwelcome dinnerがあるということで、鯉魚門というシーフードで有名な場所に車に分乗して向かった。レストランのある一角は、沖縄の国際市場のように鮮魚店で購入したシーフードをレストランで調理するというスタイルのようだ。生きのいい魚・エビ・シャコ・ウニ・貝たちが水槽で飛んだり跳ねたり。。。実に爽快な景色である。
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20:00 レストランでは、シーフードが次から次へと運ばれてきた。フィリピンからAPFSSHのfellowとして来たというDr.Nathanielと隣になったのだが、2人して、もう食べられない・・と言いながらも、来るとまた食べてしまうのだった。彼はまだ31歳だということなのだが、アメリカ・オーストラリアに計1年程留学経験もあり、結構見聞を広めている感じの青年である。なかなかwitに富んだ面白い奴だった。日本の秋葉原に行ってみたいとか言っていたので、是非AKB劇場に行ったらいいと言っておいた(行ったことないけど)。緑のシャツが彼。
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21:30 満腹の一行は、途中のフルーツ店などを物色しながら(さすがに買う気にはなれなかった)、駐車場に向かった。中には運転だからとノンアルコールで通していた者もいた(日本では当然!)。
22:10 temple streetで降ろしてもらい、散歩がてら、ぶらぶらしながらホテルに戻った。この調子だと確実に太るので、朝の散歩とエクササイズをしようと心に決めたのだった。

病院研修はTuen Mun Hospitalへ。午後はフリー。 [病院研修]

6:30 時差が1時間あるためか比較的目覚めは良い。昨晩は夜食したので朝食は飲物のみとした。本日は、今回の学会のpresidentである、Dr. Alex Choiの勤めている、Tuen Mun Hospitalに病院見学に行くことになっている。
7:45 病院ロビーまで、Dr. Alex Choiがわざわざ迎えに来てくれた。とても長身(190cm以上)の物腰の柔らかな先生である。Dr. Alexも10年以上前に、exchange travelling fellowで日本に来たことがあるのだそうだ。
8:15 慶應義塾大、北海道大、弘前大などに約2週間滞在したのだそうだ。従って、同じ境遇である私にとても親切に接してくれる。イイ先生で良かった。そうこうしているうちに、New territory westというareaに位置する、約1600床のTuen Mun Hospitalに到着した。
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見るからに大きい(見た目はやや古い感じで、たくさんの建物が寄せ集まっている感じ)。駐車場にAlexの車(トヨタのプリウスだった:私と同じだと言うと燃費が良いことなどで意気投合した)を停めて、院内に入って行った。駐車場からすぐに院内に入っていけるところが面白い。目的の手術室はすぐそこだった。ロッカールームは日本のそれとは大差ないが、Dr.ごとに専用の長靴が置いてあるのには少し驚いた。勿論、ここは土足禁である。術衣・キャップ(個人用のオリジナルを使用する者もいる)、シューズに着替えて、手術室内に入った。部屋は意外と少なくて4室しかない。理由は?と聞くと、他の場所にも違う科が使用するのがあるのだそうだ。計20室程度はあるらしい。また、ドイツなどでもあった麻酔前室がここにもある。スムースな入れ替えには必須であろう。
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8:30 本日は残念ながら、手外科の手術はないそうで、肩の関節鏡の手術を見学することになった。Alexは小児の股関節脱臼の整復失敗例の再整復・ギプス固定のsuper visorにもなっているようで、途中でいなくなったりした。
9:00 settingには、手術室技工士:technician(台湾にもいた)が行っている。彼らは、患者の搬入・搬出までやってくれるそうだ。特別なライセンスは持っておらず、病院が雇っているとのこと。しかしながら、ずっと同じことばかりしていれば、いずれはプロになれるものだ。ただ、ここのtechnicianは閉創などまではしないそうだ。タイムアウトは日本と変わりなし。肩の牽引も同じような牽引システムを使っていた。しかし、錘の入れ物がバック型になっていて、その中に砂のうなどを入れていたのは面白かった。ぶらぶらと、手術室内を散策したり、写真におさめたり(勿論、許可は取っています)、麻酔科の女医さんと世間話をしたりして過ごした。
10:30 手術は指導医が下の先生にやらせていたので、あまり面白くなかった。しかも腱板ははっきりした断裂がなくて、関節内と腱板周囲のdebridementとsubacromial plastyのみで終了となってしまった。。。
11:00 終了後は、Dr.Alexに紹介されたDr. ?(また忘れてしまった。香港の名前はみな似ているし難しいのだ)と一緒に病棟や整形外科外来やリハビリテーション施設を見学した。病棟は驚いたことに、extra bedが廊下にズラリと並べてあるのだ!!
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男性ばかりだったが、彼らにはプライバシーなどあったものではない。驚いているのもつかの間、病棟の一角で、興味深い症例を幾つか見せてくれた(月状骨周囲脱臼症例は、舟状骨腰部での骨折と月状舟状骨間離解、三角骨骨折を合併していた。珍しいという人もいるが、Alexはこのようなtypeは時々見かけると言っていた。他は、多発外傷で不全型の腕神経叢麻痺、同側の鎖骨骨幹部骨折、対側の上腕骨骨幹部骨折の症例だった。受傷からもう5日経過しているのだが、まだ骨折の手術をしていなかった。ETC、DCOはまだ浸透していないようだ。外来は25もの部屋があり、17-8人の医師が外来を行っているのだとか。外来でAlex(一番右)たちとパチリ。まだ私の笑顔が硬い・・・。
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途中、一番偉い先生が挨拶しにきてくれた。忙しかったのだろうがちょっと偉そうだった!?リハビリテーション室にも行ってみた。面白いのは、ハンドセラピストというpositionが定まっていないようで、PTでもOTでも手のリハビリテーションを行っている。まだこの辺りが問題なのだとAlexは残念そうに話してくれた。
11:50 午後は観光に連れて行ってくれるとのことで、病院を後にした。Tuen Mun市内にある大きなデパートのような場所に連れて行ってくれ、中華スタイルのランチ(辛いタンタン麺と小龍包など)を頂いた。味は濃厚で美味しかったので、スープを全部飲んでしまうのだった。
13:40 場所は変わって「中環」に来た。特に何も言ってはいなかったのだが、ショッピングはどうだ?とのことで、香港随一のスポットであるこのareaにやってきた。ブランド店を中心に、広~いスペースにたくさんのshopがある。Apple storeにも寄ってみたが、作りが実にシンプル。無駄なものがデスクの上に一切ない。そして店員の数がやたらと多い。これが成功の秘訣なのだろうかと感じた。また、スーパーマーケットが面白いだろうということで、向かってみる。確かに日本のそれとはかなり異なるスタイル(ドイツに近いかな?)である。何となく購買意欲をかきたてるような陳列法には感心する。値段はそれ程安くない。むしろ日本より高い物も多い。いくつか香港っぽい物(調味料など)を買い込んだ。途中、あの「HARIBO」を見つけた。ドイツのお土産で買って帰ったら(正確には貰いものだったのだが)、ある先生から、今までもらったお土産の中で一番不味かったとの弁を頂いた悪名高い「あれ」である。さすがに今回は見向きもせず通り過ぎた。
15:00 ちょっと疲れたので、TWGというシンガポールが本店のtea shopで休憩した。この店のお茶の品数はハンパない。世界各国のお茶(紅茶・烏龍茶・緑茶など、要はコーヒー以外)が全てあるくらいの在庫なのだ。日本では東京にしかないそうだ。また来てみたい店だった。
15:30 この後に、アメリカからの来賓である、Dr. Brian Adams(DRUJ不安定症のAdams法などで有名)達と、ビクトリアピークに行くのだそうだが、以前行ったことがあったのとちょっと休みたかったので、お暇してホテルに戻ることにさせてもらった。
16:30 MTRを使って、最寄りの油麻地までやってきた(中環から11HKD)。駅からホテルまで少し迷ったが、何となく昨日ぶらついたので戻って来れた。
18:10 シャワーを浴びたり、簡単にメールチェックなどしてゆっくり過ごした後、本日の晩餐に向かうことにした。ICCというのっぽビル(110階建てくらい300mくらいの高さ?)で待ち合わせとなっているので、ホテルからタクシーで向かった。10分くらいで到着した。
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18:30 目的のICCビル102階のスカイレストランでは、Dr. Alexの奥さんが一人で待っていた。Alex達一行は、渋滞にはまっていて少し遅れるとのことだった。名刺交換などをして2人で雑談していた。奥さんは日本語を勉強していたらしく、少し話せる。心理カウンセラーの仕事をしているとのことだ。なかなか利発そうな方であった。お土産にと、特製のネクタイや色紙、オレンジなどを持たせてくれた。。。
18:50 AlexやDr. Adams、Dr. Evansが意気揚々戻ってきた。ビクトリアピーク良かった!と言って結構はしゃいでいた。挨拶もそこそこにテーブルについて食事が始まった。あと2人途中から来るのだそうだ。メニューは奥さんが見つくろってorderしてくれた。
20:00 ワイン飲みながらジャスミンティーのような薄めのお茶をチェイサーにするという一風変わったスタイルで飲んでいった。途中参加は、第3の西洋人(どうもインプラント会社のお偉方)と、来月、日手会にexchange travelling fellowでやってくる、香港大学のDr. Kenny Kwan(オックスフォードを卒業しているとのこと!)であった。彼は私よりも若そうだし話しやすかった(会話力には大差あったが・・・)。
20:30 たくさんの話題が出てきたが、途中、アメリカの大統領選挙の話のくだりには殆ど加われなかった。Dr. Kennyはかなりくいついて、いろいろとnative様にやりとりしているので、何だか疎外感があった。Nativeはnative様に話してくれる人間と、そうでない人間を無意識に差別しているような気がする。non nativeは得意なんだが・・・。チクショー!ただ産まれた場所がラッキーなだけだろ?負けてたまるか~!
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21:10 Dr.Kennyにホテルまで彼のBMW(おいおい、飲酒運転じゃんか?台湾もそうだったけど、ちょっと昔の日本みたいである。少し飲んだくらいでは、飲んでないとして運転してしまうようなのだ)で送ってくれた。明日のcadaver workshopも迎えに来てくれると言ってお別れした。彼はエリートコースっぽい雰囲気を醸し出している。10年後の彼が楽しみだ。

HKSSH-JSSH exchange travelling fellowにて香港へ [移動日]

日本手外科学会と香港手外科学会の交換短期留学制度というのが平成12年から始まっていて、今年の私で12人目だそうだ。過去には、今では日手会をリードしている錚々たるメンバーが選出されている。自分が行くのはかなり場違いな感じがするのだが、海外武者修行の機会を再び得ることが出来たということにして、あれこれ深く考えずに良しとしてしまおう。
この3月は出張が多くて、月の半分以上は自宅を留守にしてしまっている。4月で2歳になる娘にそのうち忘れられてしまうのではないかと不安である。妻は準備やら何やら全てをしてもらった。毎度のことながらお世話になります。
13:19 折尾駅発ソニックに乗り込む。折尾⇔博多の移動は、毎週のことなのでとても慣れている。このソニックは博多までノンストップで27分。一番快適な奴だ。
14:20 福岡空港国内線前から連絡バスに乗り、国際線ターミナルに到着した。国際線は、電車だと少し不便なので、車で来ることが多いのだが、出発の直前に妻が娘を担いだまま転倒し(不自然な体勢で)左肩を痛めてしまった。長距離移動は辛いので静養してもらうことにしたのだった。国際線は2時間前に集合というのが言われている訳だが、空いている時は、時間が余ってしまうので手持ち無沙汰となるものだ。どうも髪がむさい感じなので、散髪しようと思い立ち床屋を探してみたのだが、見当たらなかったのはイタかった。。。
15:30 お土産などの買い物や両替を済ませ出国手続きへ向かう。中で一休み。国際線の搭乗待ちフロアの売店で売っているソフトクリーム(350円)は美味しいのだ。かなり濃厚な味でトルコアイスみたいに不思議と結構伸びる。ここでの密かな楽しみになっていたりする。
16:20 搭乗する。ドラゴン航空とキャセイパシフィック航空の共同運航である。キャビンアテンダントさんは概ねお綺麗である。搭乗してすぐに私のチケットをすかさず確認した上、席まで案内してくれた。可愛く気配りができる女性だ。プチ感動した。香港とは時差1時間。実際の飛行時間は3時間強程度だ。
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ドリンク(ビールを選択)→ディナー(チキンかフィッシュだったのだが、チキンがなくなりやむなくフィッシュ!)、デザートにハーゲンダッツアイスが付いてきた。コーヒーまで堪能すると下腹部がきつくなってきた。食後ウトウトした。
機内での読み物は、まんがハングル入門。思わず空港の書店で買ってしまった。しかし思いのほかためになる。以前少しかじったこともあったので、「ハングル」を短時間ですんなりと頭に入れることができた。おススメの本かも・・・。しかし、良く考えたら行先は香港であった。
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19:00 予定より15分程度早く到着した。気温は寒くも暑くもない15-6℃というところだろうか?快適である。しかし、福岡はアジアが実に近い都市だ。改めて実感。台湾2時間、香港3時間なのだ。乗り継いで国内の地方都市に行くより便利が良いのだから面白い。
19:30 預けた荷物をピックアップし、到着口で待ってくれているという、Dr.Wanを探す。私の名前を書いた紙を持って立っていると事前に連絡があったのだが、見当たらないので少し待っていた。10分ほど経過しても現れないので、携帯にTELしてみると、別の出口(AとBがあった)で待っていたとのことだった。やけに早口で喋る先生だ。
19:45 もう一人の同僚の女医さん(名前を忘れてしまった)とともに、Dr. WanのBMWで私の滞在先ホテルまで向かってくれた。高速を使ってスイスイと九龍地区まで到着(おおよそ30分程度だったかな?)
20:30 今回、10日間ほど滞在する、Silka seaview hotelである。Dr. Wanとともにcheck inし、荷物を部屋まで運び込んだ。彼ともう一人の女医さんにささやかな日本からのお土産を渡し、その日は別れた。ふー、無事に着いて良かった。
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21:30 荷物を仕分けたり、スーツをハンガーにかけたり、コンセントのプラグをロビーで借りたり(プラグジャックの形が違う。香港は縦長、横長・横長の三角形タイプ)、少しベッドでごろついたり(部屋は狭いがツインルーム)して過ごしていると、ホテルの周りが気になりだしてきたので、夜の散策に出かけることにした。ホテル周辺は、Temple streetと言ってnight marketや大衆食堂やカラオケ店?などが集まっている賑やかなエリアだ。
22:00 小腹が空いたので、夜食を頂いてしまう(しかもビール付き)。土鍋に入った少し硬めの牛丼に卵と醤油様のソースをかけてぐちゃぐちゃと混ぜて蓋を閉めた。若干、ビビンバ的な食感となって美味しかった。つまみはアサリの胡椒・ガーリック炒め。ごちそうさまでした。露店でいくつか買い物してホテルに戻った。そうこうして、バタバタとした初日が何事もなく終了となった。明日からの生活に向けて体力を蓄えておこう。
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