香港手外科医学会第25届年度会(1日目) [学会]

8:15 香港手外科学会の初日である。本日は発表がある訳でないので気が楽だ。ホテル前からタクシーをつかまえて、会場となっているPrincess Margalet Hospitalに向かう。ホテルのボーイさんに聞くと20分もかからないと言っていた。
8:35 すんなり病院に到着した。この病院も大きくて1000床以上はあるようだ。
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病院の主座(メインロビー)に来るも、特に学会の案内がある訳でもなく、会場がどこだか良く分からなかった。エレベーターの手前に申し訳なさそうに張り紙があったので、ようやく場所が分かった。7階の大講義室で行うようだ。昨日、一昨日と接待を受けていたこともあり、知った顔に何人か出会った。会長のDr.AlexとフィリピンのDr. Nathanielが雑談していた。早速、regitrationするように言われる。参加証明書やらネームーホルダー2種類(参加者用とJSSH ambassadorとしての2つが用意されていた)をもらった。日本とは異なり、既に名前が記載されている。参加者数はハンドセラピストや看護師も一部来るとのことで、200名弱らしい(そのうち海外からは招待者含めて30名弱というところだろうか)。一つの会場で、続けてsessionが組まれているため、全ての演題を聞くことができるのが良い。先月の九州手外科も同じスタイルだったが、あれはきつかった。55演題を朝から晩までぶっ通しでやるのだから。。。香港の若いDr.にそのことを話したら、それはクレージーだねと言っていた。
9:00 早速、国内のfree paperのsessionが始まった。Cadaver workshopでbuddyだったDr.Margaletが喋っている。流暢だ。さすがに発表中は「Uhhu」は出ていない。Dynamic splintを用いた基節骨骨折の保存治療10年成績を出している。確かにこの部位は癒着の問題もあり、手術の成績があまり良くない部位だ。それだけに聞いていて妙に納得した。やはり、長期成績はインパクトがあるものだ。この演題は、今回の最優秀演題に選ばれて後ほど表彰されていた。続けて、来月日本にfellowでやって来る、Dr.Kennyが2演題続けて発表していた。皆そうなのだが、原稿などは見ずに、実に堂々と話している。聴衆に訴えかけるような喋り口は、Steeve Jobsばりである。なかなか聞かせるテクニック・スライド構成をしていた。母指CM関節症に対する鏡視下デブリドマンの良好な短期成績(Gradeの低い症例を厳選)を出していた。もう一つは、CPなどによる上肢の痙性に対する、Botulinum injectionの話をしていた。なかなか興味深かった。その他は、テニス肘に対する保存治療(テニス肘バンドとバンド+手関節背屈装具のrandomized control trial)、これは、手関節背屈装具も併用した方が3ヵ月までは成績が良いというものだった。他にも幾つかあったが、splintを用いた治療成績が比較的多い印象。日本の手外科学会のように、橈骨遠位端骨折ばかりということはなくて新鮮であった。
10:10 シンポジウムで国内外4人の演者が順番に喋っていた。皆、概ね時間オーバーだったのだが、最後のフランスの演者は12分の予定を30分近く喋っていた。Pyocarbon interpositionというインプラントの説明なのだが、昨日もワークショップで聞いていた内容でもあり、早く終わって欲しかった。次第に聴衆もざわつき始め、さすがに座長が制してくれた。時間はルーズでない方が気持ち良い。
11:40 40分遅れでtea breakとなった。もう昼に近い。またもやシュウマイやらクッキーなどが置いてある。入り口で写真を撮るのを忘れていたので、撮ってもらった。一緒に写っているのは、この病院のシニアレジデントのDr.なのか?まだ若いが結構しっかりしている雰囲気だった。
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その後、院内をうろついて、救急室やら救急車などを見てきた。日本のそれより機能的でカッコ良い。
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12:00 招待講演者1人目Dr. Adamsによるwrist arthroplastyの話である。今回の学会の目玉の1つのようだ(もう一つがM川先生の指の人工関節の話)。この二人のみが学会からの招待で、その他の海外からの講演者は、企業持ち招待だそうだ。どうやら企業持ちの方が良いホテルに泊まっているのだとか。。。やはり、人工関節ものはadhesionの臭いが強い。内容は、これまた昨日聞いた話に補足が少しされているのみであり、復習には良いがちょっと飽きてきた。
12:30 オープニングセレモニーが始まった。台湾でのAPFSSHでもそうだったが、会の途中でやるのが常らしい。確かに、その方が皆参加してくれるので良いのだろう。次々に招待講演者などが呼ばれていく。最後に日本からのexchanging fellowということで、私が紹介された。「Ambassador」という称号が付いているのだが、「大使?」他のfellow達がscholarと呼ばれているのに比較して、何だか偉そげである。しかしながら、その風格は醸し出せない。
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13:00 ランチョンシンポジウムが始まる。3人の演者が入れ替わり喋っていた。トピックは橈骨遠位端骨折であった。背側アプローチ(古い症例ばかり・・・)、掌側アプローチ、新しいインプラントの開発など。うち、AOの著名人、Frankie Leungが掌側プレートでのscrewの長さは、リスター結節に騙されないように、短く設定すべきであると言っていた。これは、私が明日喋る内容でもあり、かぶってしまうのだった。ランチは、ペンネとサンドウィッチであり、あまり美味しくなかった。マンゴージュースは結構イケた。
14:00 2つ目のシンポジウムが始まる。シンポジウムとは言っても、皆、時間を気にしていないので、最後のpanel discussionの時間がなくなってしまうので意味がない。単なるショートレクチャーになってしまっている。M川先生のwristのtendon suspension interposition arthroplastyのみが、日本人だからだろうか、共感を覚えた。他は人工関節一辺倒であり、かなり抵抗がある。これらは、企業のMarketingも兼ねているので、売り込みに必死なのだろう。知識としては、持っていても良いだろうが、自分でやることはないような気がする。
15:20 招待講演の2つ目で、もう1人のAdams(女性)、UKから。彼女は、手外科・上肢外科におけるsplintの重要性について熱く述べていた。OTとのコラボが重要であると、それが出来てきて、手外科の手術の成績も安定してきたとの弁だった。確かにその通りだが、これも時間オーバーであった。内容はシンプルでメッセージ性を前面に出した方が後に残りやすいだろう。
16:30 tea breakの後に、最後のsessionが約1時間遅れで始まった。DRUJ instabilityに関する内容だったので、きつかったが、頑張って最後まで聞いた。3人の演者が話してくれのだが、結局、DRUJ不安定性があっても症状がある人、ない人がいることに対する答えを持っている人はいなかった。これが問題だと思うのに。。。それがクリアされなければ、本当は必要でない手術をしてしまっている可能性を常に孕んでいることになるのだ。皆それぞれ哲学があるのだろうし、疲れていたので質問する気力はなかった。
17:30 1日目が終了した。これから、近くのレストランでCongress Banquetが開かれる。車で10分程度の場所らしいのだが、19時から開始なので、微妙に時間が空いてしまう。いったん帰っても来るのが大変なので、先に向かうというOTの方たちと便乗させてもらい、レストランの近くを散策することにした。
18:20 富臨皇宮という中華レストランだったが、同時に2件の結婚式が行われていた。香港スタイルの結婚式を見ることができて面白かった。会場の末席のスペースには、雀卓があって、麻雀に興じる老若男女がいるのには驚いた。全体的な雰囲気は、日本のそれとあまり変わらない感じ。
19:00 街をぶらついた後に戻って来ると、ぼちぼち人が集まりだしていた。学会からの招待者のみで、私のようなfellowshipや招待講演者、企業の人たち、事務局、併設されていたハンドセラピスト学会の関係者などが、総勢50人程度というところだったろうか?私の両隣には、Tuen Mun HopsitalのDr. Choiと香港に支店を置くフランスのインプラント会社のジダンに似たMr.(フランス読みなので良く聞き取れなかった)だった。N島メディカルの女史もいて、日本の話題で盛り上がったので楽しかった。
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20:00 途中、パフォーマーがやってきて、薄っぺらい紙の上に乗っかったり、包丁の上に乗ったり、釘を手で打ち込んだり、歯で抜いたり、鎖を胸でちぎったりしていた。。。怪我しても世界からhand surgeonが来ているから安心だなどと言っていた。これらの芸は本当にしているようなのだが、おそらく「氣功」の要素を取り入れているのだろう。人間、「気合い」で何とかなるという意味では良い勉強になった。料理はこれまたtoo much。。。。セーブした積りだったが、知らず、知らず食べてしまっていたようだ。また、途中で、ラッキージョーとか言って、記念品がもらえる抽選会のようなものをした。幸運なことに私も当たって、ワイヤレスのマウスを頂いた。ネズミ年産まれなので、マウスには縁があると言ったら、まあまあ受けてくれた。その後、記念撮影をしたり、Dr.HK Wongが香港手外科学会のネクタイを記念にくれたりとした。写真は、隣の結婚式会場の前でPC Hoと。
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21:40 帰りは、スピード運転に定評のある、Dr.Steve(これまたBMWなのだが、メカをいじっている)がtemple streetまで送ってくれた。お腹を減らさないといけないと言って、少し遠くで降ろしてもらった。ほろ酔いの中、夜の街をぶらついてホテルに戻った。いよいよ、明日が発表本番である。気合い入れていこう!
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銀ままん

はじめまして。突然のコメントで失礼いたします。
実はただ今香港に住んでるのですが、先日、NHKワールドのためしてがってんという番組で今年の年明けぐらいから悩まされているわたしの指の問題らしきものを見ました。 http://www9.nhk.or.jp/gatten/archives/P20120215.html
リウマチかと思っていた自分の症状が腱鞘炎かもしれないということも驚きでしたが手外科という分野があるのもおどろきでした。
是非一度診察をうけたく検索をしたところ、こちらのサイトをみつけました。
ご迷惑とは思うのですが、香港の手外科のお医者さまを教えていただけたらありがたいのですが。
よろしくお願いいたします。
by 銀ままん (2012-04-10 10:44) 

Ukichi DRZ

はじめまして。
最近チェックをしていなかったのでレスポンス遅くて申し訳ありませんでした。香港はご存知のようにそれ程広い土地ではありませんので、Clusterに分けて5つくらいの大きな病院がございます(大学病院2つ、中核病院3つほど)。私が見学に行った病院であれば、いずれも確かな手外科の専門医の先生方がおられるので安心だと思います。ご検討頂ければと思います。
by Ukichi DRZ (2012-04-16 00:08) 

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